日本の伝統工法は"縄文時代"の遺跡で既にその一端を見ることができるのですが、長い時間をかけ日本の風土に合わせて育まれてきた伝統的な建築技術です。安土桃山時代には完成形に達したと言われているこの建築法ですが、最大の特徴としては金属をほとんど使用せず、木で木を締める「木組み」の工法、そしてその一つ一つを手刻みで作り上げる技法にあります。
日本の伝統的な建築技術において最も古く、現在でも日本の木造建築における最高傑作として位置づけられるのが、奈良県にある法隆寺。その中でも五重塔は、この地震大国・日本において実に『千三百年』という年月を経ても今尚その佇まいに遜色なく、2012年に完成した東京スカイツリーの耐震設計にも参考とされている「心柱(しんばしら)」を軸とした設計がポイントです。
これらは"柔構造"として位置づけられる建築で、手刻み・木組みの住宅建築も揺れに対して一部分に力をかけず、全体的にバランスよくストレスを分散する、同様の構想により建てられています。
一方、鉄筋・RCの一般住宅やアメリカ発祥の2x4などプレカットを組み立てる工法は"剛構造"。この建築は金属により骨組みを固定しているため、特徴としては木部と金属部の固定がしっかりと保たれている限り、建物もぶれることなく形状を保つように設計されています。
現在は、人口の増加と産業の発達により住宅建築業界においても合理的な工法が次々と生み出されました。
ニーズに合わせた"短工期、低価格かつ機能性を重視した住宅"が広く供給されていますが、こうした家の寿命は約30年前後。以前の日本では寿命100年を目安とした住宅建築が主流であり、住宅の耐久性においては世界でもトップクラスの実力を誇っていましたが、この以前のような建築技法で子や孫の世代に渡って「家」という財産を受け継ぐ文化は薄れてまいりました。
家づくりにおいて重視するポイントは多様なもので、何が正しいということはありません。しかし、飯沼工務店では住宅建築を「産業」として考えず、後世にも引き継いでいきたい「文化」として、日本の伝統工法における職人としての思いを大切にしています。
伝統工法の魅力、木組みを重視する理由があります。
家を丈夫に、安心して長く住めるようにと考えて作るものですが、細かい所に様々なポイントがあります。
伝統工法の大工は「木」のことをしっかりと知っておかなくてはなりません。木の癖を読むといい、既に2、3年乾かし終わった木でも、年の経過と共に反りが出てきます。その点を想定しながら家を組み立てていきます。
古くから残っている建築様式の住宅には、必ずある「松丸太」。
丸太をそのまま利用するには曲がっているため、オートメーション(機械による木材加工)ができず、職人の"手"で加工するしかありません。
機械化が進んだ住宅建築においては非常に面倒な作業であり、ほとんど行う人はいません。
丸太の反り(曲がっている形状)を利用します。
真っ直ぐの角材は、その中心部に負荷がかかった場合、両端が引き抜かれるような力が加わりますが、曲がっている丸太はその逆。弧の外側に負荷がかかるように配置しているため、両端が押し広げられるようにストレスを分散する設計になっています。
このように、曲がっている木は使い方を工夫することで真っ直ぐな木の何倍もの強さを発揮します。他にも形状がいびつ、細い木なども、その特性を生かした場所に使用することで木々それぞれのパーツが最大限の効果を発揮し、豊かな家づくりにつながります。
現在では、外観を重視するために柱や梁の部分は必要以上に隠されるようになりました。そのために、柱などは壁の内側が定期的に温度・湿度上昇を繰り起こすことで腐朽が進み、結果的に木の寿命が縮んでしまいます。
木は、加工した後でも呼吸しています。
木を"現わし"にして使うことで、湿度の調節にも役立ちます。できるだけ柱や梁は壁や天井の中に密閉しないで、現わしにして使うようにすると、家の寿命が伸びるだけでなく、そこに住む人の健康や快適性にも大変良いことに繋がります。
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